不都合な“穴”がついになくなったXperia Z4の魅力を語る

 ソニーモバイルコミュニケーションズが4月20日、『Xperia Z4』を発表しました。

Xperia Z4』を世界で初めて日本で発表した、ソニーモバイルコミュニケーションズの十時裕樹社長。
本体左側面の充電端子がついに廃止された。

 前モデルZ3の基本スペックを向上させ、”完成形”を目指したというZ4。MWC2015では発表を見送り、あえて日本国内で最初に発表したという点に集まっています。

 しかし筆者がもっとも注目したポイントは、充電端子に関する仕様変更です。■Xperia Zシリーズの充電端子を振り返る

 充電端子について、これまでのXperia Zシリーズを振り返ってみましょう。初代のXperia Zでは、本体側面に控えめな大きさの金属端子がありました。しかしZ1以降は、ボディーの左側面に大きな穴を開けたデザインとなりました。

Zシリーズの原点、Xperia Zの充電端子は比較的目立たない構造だった。
Xperia Z1以降は充電端子が大きな“穴”になった。

 Xperia Z1の試作機を最初に見たとき、筆者は「充電端子のフタが外れているようですが?」とソニーモバイルの担当者に尋ねてしまいました。すると担当者氏は少し憮然とした表情で、「これで正しい仕様なので、このまま使ってもらうことになる」と答えてくれたことを、今でもはっきりと覚えています。

 筆者はZ1を手に持ったとき、明らかにこの穴に違和感を覚えました。この設計はのちにZ1 fやZ2、Z3へと引き継がれていくことになります。

Z1の小型版として登場したXperia Z1 f(海外ではXperia Z1 Compact)にも、この仕様は受け継がれた。本体が小型化しただけに、相対的に充電端子が目立っていた。

 もちろんこの穴の存在は、さまざまな機能や使い勝手とのトレードオフになっています。充電のたびに、防水カバーを開けてMicroUSBポートにケーブルをつなぐ手間は省けます。卓上ホルダーは机の上でのスマホの“居場所”としても機能するため、室内で紛失しにくくなり、充電忘れを防ぐメリットもあります。

卓上ホルダーに置くと、マグネットにより小気味よくドッキングする。この使い心地は、たしかに快適だ。

 また、国内キャリアの製品としては珍しくない卓上ホルダーも、グローバルではあまり見かけないものです。日本ならではの細かな気配りは、海外市場における日本メーカーの優位性になり得る点でもあります。

2014年2月発表のZ2世代でも、ほぼ同じ位置に充電端子が設けられた。エッジを面取りしたためか、指への当たりはわずかに柔らかくなった印象だ。
2014年9月のXperia Z3もこの設計を踏襲した。

 ただ、そういったメリットを考慮してもなお、この穴は大きすぎるのではないかと筆者は感じていました。細部までデザインにこだわっているはずのXperia Zシリーズにおいて、よく指が当たるところに、なぜこんな穴がなければならないのでしょうか。

Xperia Z4ではキャップレスUSBで充電端子を廃止

 それでもなお、日本国内でのXperia Zシリーズは人気が高く、売れ続けてきた実績があります。そこまで細かいところを気にしていたのは、筆者だけかもしれません。あるいは、メリットの部分が穴のデメリットを大きく上回っていたとか、他にXperiaに匹敵するほど魅力的なAndroid端末が存在しなかったのかもしれません。

 いずれにしても、Xperia Z4でこの充電端子はついに撤廃されます。MicroUSBポートがキャップレス防水に対応し、防水カバーが不要になったためです。充電のたびに毎回カバーを開ける手間がかからない以上、もはや専用の充電端子を設ける必要はない、という判断です。

Xperia Z4では、ついに充電端子が撤廃。本体左側面はスッキリしたデザインになった。

 また、キャップレス防水を採用したタブレットXperia Z4 Tablet』では、卓上ホルダーに置いて充電すること自体がサポートされなくなりました。しかしXperia Z4では、新たに縦置きの卓上ホルダーが開発され、Z3までの使い勝手を再現しています。

Z4の卓上ホルダーは、本体下部のMicroUSBポートを用いて縦置きするタイプとなる。実際に試したところ、汎用的な製品よりも抜き差しはスムーズだった。

 もちろん、Xperia Z4の魅力を一般的に語るならば、フロントカメラの強化や、メシマズ写真とおさらばできるプレミアムおまかせモードのグルメモード対応、プロセッサーなどの基本性能の向上といった点が、評価の中心になるでしょう。