「操縦士が意識喪失」との見方も=急減圧? 謎深まる―独旅客機墜落

パリ、ベルリン時事】フランス南東部で起きたドイツのエアバスA320型旅客機の墜落事故で、同機は約8分間で1万メートル近く急降下し、遭難信号も出していなかった。急な減圧で操縦士が意識を失ったとの見方も出ているが、突然の急降下の原因ははっきりしておらず、事故調査の焦点の一つとなりそうだ。
 ジャーマンウィングス社や米CNNテレビ(電子版)によると、事故機は現地時間午前10時1分(日本時間午後6時1分)にスペイン・バルセロナを出発。巡航高度の約1万1600メートルに達してすぐ急降下を始め、約8分後の10時53分(同6時53分)に高度約1800メートルで消息を絶った。
 独誌シュピーゲル(電子版)は墜落原因の一つとして、コックピットの急激な減圧により、操縦士が意識を失ったとの見方を紹介。こうした状況なら、管制塔との連絡が取れなくなった理由の説明もつく。
 同誌は、2014年にスペイン・ビルバオ発独ミュンヘン行きのエアバスA321型機の機器が、何らかの不具合で急激に冷えた影響により機体の角度が誤って認識され、急降下を始めたケースを報じた。このときは操縦士が手動操作に切り替え、難を逃れたという。
 事故現場上空を数十回飛行した経験のある機長はAFP通信に対し、「山脈を前に降下するなどプロの操縦士の正常な行動ではない。操縦士が制御できない状態だったことを意味するのだろう」と分析。「有害な煙が発生するような火災などによってコックピットを出ざるを得なくなり、(機体が)降下した可能性はある」と語った。