入浴中のウトウト。実は、脳が危険な状態だった

入浴中についウトウトしてしまうことは、どなたでも経験があるのではないでしょうか。しかし、場合によってはそれは脳貧血状態かもしれず、危険な可能性があるということをご存知でしょうか? 

入浴中の脳貧血状態について、原因と対策を医師に解説していただきました。

ウトウトと脳貧血の違いは?


まず、入浴中のウトウトが何を意味し、それが何故危険なのかをご説明致します。冬の寒い日などにお風呂で暖まって、その結果、気持ちがリラックスしてウトウトする、これは全く問題がありません。ただ、お風呂の中でウトウトとしてしまうと、のぼせてしまい脱水症状になったり、時には浴槽におぼれてしまったりすることもありますので十分にご注意下さい。

こういうウトウトではなく、一瞬気を失っていた、とか、そこまでいかないまでも意識を失いそうになった、ということはないでしょうか。特に、浴槽から立ち上がった瞬間にこのような症状が出ることが多いです。 この際起こっていることは、脳に十分な血液が達せず、意識を失いかけているという極めて危険な状態です。この状態を医学用語で、起立性低血圧あるいは、一般的には脳貧血と呼んでいます。

脳貧血の原因は?


血液は心臓から全身に巡っています。横になっているときはそれほどではありませんが、起立した状態では心臓から脳に血液をとどけるには、強いポンプの力が必要です。この力が不十分の時には、脳に血液が行かずに、脳貧血になってしまいます。

特に、体がぽかぽかと暖まっているとき、末梢血管が拡張し、体全体の血液抵抗が落ちています。そのようなときに急に立ち上がると、心臓の機能が正常な人でも、血液が下の方(つまり足)に集まってしまい、脳まで十分に血液が届かないのです。

脳貧血の改善法&予防法は?


お風呂の場合は、予防法として、長くつかりすぎないことです。長くつかることで、汗をかいて脱水状態になると、加えて、体が温まって末梢血管が開くこと、これが脳貧血を引き起こすからです。また急に立ち上がったりせず、ゆっくり行動することも大事です。そして、入浴前に水分をしっかりと取りましょう。

目の前が真っ暗になったり、ぼーっとして症状が出そうになったときの対処法としては、とにかくしゃがむことです。しゃがむことによって、重力が解消され、脳に行く血液が増加します。また、万が一意識を失って倒れたとしても、打撲などの症状が軽く済みます。

■医師からのアドバイス
これからの時期、お風呂で暖めることは健康に良いのですが、やり過ぎると危険な症状を引き起こすことがありますので、十分気をつけて下さいね。