錦織効果で松岡修造氏が異例のVIP待遇

 男子テニスの世界ランキング5位・錦織圭(25=日清食品)の大活躍で師匠の松岡修造氏(47)の評価が急騰している。その飛ぶ鳥を落とす勢いはなんと日本テニス協会をも直撃。“松岡理事の扱い”がついに理事会での「議題」となり、異例のVIP待遇が決まったのだ。日めくりカレンダーさえも空前の大ヒット商品にした松岡氏の“熱さ”が日本中に伝播しているが…これも錦織効果か!?

 日本テニス協会の理事兼強化副本部長として「修造チャレンジ」を中心にジュニアの育成に携わる松岡氏は、錦織の大ブレークに伴い、テレビやメディアの露出が急増。キャスターやスポーツ解説者、タレントとして引っ張りダコで、テニスの枠に収まらない活躍を見せている。

 その特徴はなんといっても熱すぎるコメント。毛嫌いする人も多いと思われがちだが、錦織の試合でのユニークかつ愛情あふれる発言の数々は若者の心をとらえ「理想の上司」アンケート調査では2014年の10位から15年は一気に2位に躍進した。松岡氏の応援メッセージが記された日めくりカレンダー「まいにち、修造!」(PHP研究所)は70万部突破の大ヒット商品になった。

 そんななか、松岡フィーバーが日本テニス協会も直撃していた。19日に都内で開かれた理事会ではなんと松岡氏の“処遇”が議題に取り上げられたのだ。これまで2つに分かれていた「修造チャレンジ」の一本化などが協議された後、幹部が松岡氏の置かれた状況を説明。そして必要な措置を取るべきと訴えた。

 具体的には宿泊や移動での待遇面のアップグレードだ。例えば通常、理事は飛行機移動ではエコノミークラスを利用する規定がある。しかし、松岡氏については「同氏の社会的知名度からくる治安上の要請などにより、特別な配慮を行うこととする」と判断。日本テニス協会としてビジネスクラスの利用を認めることになった。

 内山勝専務理事(71)は「彼の場合は通常の形では無理。普通車で皆さんと一緒に混んでいるところに乗ってもらったり、飛行機もエコノミーで後ろのほうに乗ってもらうのは混乱を招く」と力説。不測の事態が起こればせっかくのブームにも水を差しかねない。多忙な松岡氏はこの理事会を欠席したが、他の理事から反対の声はなく、松岡氏の「安全確保」に万全を期すことが決まった。

 支出の増加も問題ないという。本年度の収益は昨年度の約1000万円の赤字から“錦織効果”で予想を大きく上回る約1億円の黒字に転じる見込み。錦織がエースとしてけん引した国別対抗戦デビスカップや、全米オープン準優勝後に開催された楽天ジャパン・オープンの観客が大幅に増えたことが要因だという。

 今後も錦織が活躍すればするほど、松岡氏もクローズアップされる。テニス人口の増加、イメージアップなどテニス業界へのプラス効果は計り知れないほど大きく、テニス協会も適切な対応を取っていく方針だ。

☆まつおか・しゅうぞう=1967年11月6日生まれ。東京都出身。10歳で本格的にテニスを始め高校2年で名門の柳川高に編入。その後渡米して86年にプロ転向。95年のウィンブルドン選手権でベスト8進出の快挙。98年に現役を引退し、後進の育成のため「修造チャレンジ」を設立。参加した錦織に飛躍のきっかけを与えた。現在は指導者のほかにスポーツキャスター、タレントとしても活躍。188センチ、85キロ。