<世界フィギュア>手ごわいカザフの英雄…27日男子SP

 【上海(中国)福田智沙】フィギュアスケートの世界選手権は27日夜、男子ショートプログラム(SP)が行われる。連覇を狙う羽生結弦(ANA)の前に立ちはだかるのがカザフスタンデニス・テン(21)だ。先月の4大陸選手権を圧倒的な強さで制し、SPとフリーの合計得点は歴代3位、今季世界最高をマークした。ソチ五輪銅メダルのカザフスタンの英雄は、2022年冬季五輪招致を目指す母国に初の金メダルをもたらせる。
 24、25日の公式練習でのテンには、余裕が漂っていた。ジャンプは4回転も含めてほぼ完璧。滑りの美しさも相変わらずだ。振り付けを何度も確認し、プログラムの完成度をより高めようとしている。「調子はいい。まだ完全な準備はできていないが、今の状態には満足している」。本番までには100%に仕上げられるという自信がうかがえる。

 09年世界選手権に15歳で初出場して8位入賞し、翌年のバンクーバー五輪は11位。13年世界選手権2位、翌年のソチ五輪3位と母国にフィギュア初のメダルをもたらした。フィギュア不毛の地に現れた才能にかかる期待は大きく「5年前くらいはプレッシャーに押しつぶされていた」というが、今では「国もファンも期待しているのは分かっている。それを受け入れながらも前に進んでいきたい」と覚悟を固めている。

 ライバルの羽生については、手術やけがをしたことは知っているものの、「世界選手権はシーズン最大の試合で、すべての選手が目指すところ」と特別意識はしていない様子。「その日の1試合に勝つことではなく、毎日ベストを尽くすこと、自分自身が毎年毎年成長していくことが重要」と語るテン。今大会に限らず、18年平昌冬季五輪に向け、今後も日本勢にとって手ごわい存在になりそうだ。