6時間睡眠を続けている人は自分で気づかないうちに徹夜した人並みに認識能力が落ちている

日本人は世界で最も睡眠時間が少ないということが 2014年の調査で判明しており、東京に住んでいる人の平均睡眠時間は5時間44分だと言われています。一方、新たな研究で、6時間以下の睡眠を続けている人は自分では「ちゃんと睡眠を取れている」と思っていても徹夜した人の認識能力とほぼ同じであるという研究結果が明らかになりました。 

Sleep duration: how well do self-reports reflect objective measures? The CARDIA Sleep Study 

Why Six Hours Of Sleep Is As Bad As None At All | Fast Company | Business + Innovation 

SLEEPの3月号で発表された研究では被験者48人を「睡眠4時間」「睡眠6時間」「睡眠8時間」のグループに分け、2週間にわたり、それぞれ決まった時間以上眠らないようにしてもらうと共に、3日にわたって「全く眠らない」というグループを設定。被験者らは毎日2時間のテストを行い、認識力のパフォーマンスや物事の反応にかかる時間がチェックされ、加えて「どのくらい眠いですか?」といったような体調・気分に関する質問が行われました。 

テストの結果、最も高いパフォーマンスを示したのは睡眠8時間のグループで、これに対して4時間睡眠のグループに属する被験者は、連日のテストで低い結果を出し続けたとのこと。睡眠6時間のグループは最初のうちは問題ないように見えたのですが、10日目を過ぎたあたりから変化があり、実験の最後の数日は2日間全く眠らなかった人と同じくらいの認識力パフォーマンスを示しました。 

by GwendolineQuinlan 

この研究が示す最も危険な点は、例え認識力が低下していても、睡眠6時間のグループの人は「睡眠が足りていない」と自覚していないこと。全く眠りをとらなかった人々は時間が進むにつれ自分の眠気レベルを高く評価していく傾向にあり、実験の最後は自己申告の「眠気レベル」を2段階上げたのに対し、睡眠6時間のグループの人々は1段階しか上げませんでした。自分の睡眠状態を正しく把握することは人々の想像以上に難しいことのようです。 

また、シカゴ大学で行われた別の研究では、人々が自分の睡眠状態を過大評価しているという調査結果が示されており、「多くの人は自分の睡眠時間を0.8時間分多くみている」という研究結果も存在します。つまり、「自分は7時間睡眠」と思っている人は本当は6時間強しか眠れていない、という状態が存在するわけです。 

では、「どうすれば良質な睡眠が取れるのか?」ということに関しては、寝る前30分に電子機器の画面を見ないこと、アルコールの摂取を控えること、適度な運動を行うことなど、さまざまな研究結果が示されています。また、あまり聞かないかもしれませんが、太っている人は体重を落とすことも睡眠状態の改善につながると考えられています。CDCによると、食生活・運動・精神の健康・体の健康などの要素が睡眠状態に関係しており、ひいてはそれらが自分のパフォーマンスを左右させるとのこと。 

by Carlos ZGZ 

なお、既存の研究の中には睡眠時間が6時間未満の人は7~8時間寝ている人に比べて 脳卒中のリスクが4.5倍に高まると主張するものも存在し、また平日の睡眠不足は 週末に寝だめで回復できないのに加え、 ウエストが太くなってBMI数値が上昇するとも言われています。