究極の熟睡には「脳の温度調節」が肝要だった

効率的に「疲れ」を回復する方法とは?(写真:kou / PIXTA
疲れたなぁ……休みたいなぁ……特別に何かをしたわけじゃないのに、疲労感を覚えてしまうことってありますよね。

そんな“疲れ”の症状は、脳と身体が発信する“休め!”のサイン。現代人は、多忙を言い訳に、休息や睡眠を疎かにしてしまいがちですが、疲労を放っておくと、知らず知らずのうちに身体の中で何かしらの病気が進行していることも……。

そうなる前に、疲労を回復する休息や睡眠の意味とその大切さについて、あらためて考え直してみませんか? 積極的に効率よく休むことでパフォーマンスがアップし、その結果ゆとりができれば、良いスパイラルにつながっていきます。

まずは「積極的休養」でストレスを発散!

当記事はFuminnersの提供記事です
疲労した状態とは、仕事や日常生活に必要なエネルギーがなくなった状態。体力はもちろん、集中力や思考力、気力までもが低下・欠如してしまうことは、ご存知の通り。

そんな疲労を回復し、心身を正常な状態に戻してくれるのが「休息」です。休息には、「消極的休息」と「積極的休息」の2種類があり、双方を上手に使い分けることが疲れた身体を効率的に回復するために重要になります。

消極的休息は、昼寝や睡眠のように体を動かさずじっとしている休息のこと。一方、積極的休息は、ウォーキングやヨガなどの有酸素運動で血液の循環を良くして、疲労物質である乳酸の分解をスムーズにし、疲労の回復を早めることを指します。

心身の疲労を効果的に回復させるなら、積極的休息が理想的。パーソナルトレーナーであるタマラ・グランド博士によると、積極的休息をとることで、筋肉痛の発生を遅らせたり、関節の使い過ぎによるケガを予防するなどの効果が見込めるそう。また、ストレスなどの精神的な疲労を取り除くのにも有効とされています。

皆さんもご存知の通り、いちばん手っ取り早く疲労回復効果を見込めるのが「睡眠」です。

睡眠が疲労回復につながるのは、眠ることで「成長ホルモン」の分泌が促進されるため。成長ホルモンには、運動や労働などで疲労・破損した身体の組織を修復・再生する働きがあります。“疲れがとれない”症状は、実は成長ホルモン不足が原因であることも多いのです。

成長ホルモンは、眠りに入って約1時間後のノンレム睡眠(深い眠り)のときに多く分泌されると言われています。眠りが浅いと分泌されにくくなってしまうので、しっかり分泌させるためには深い睡眠が不可欠です。

眠れないときは「頭を冷やす」!?
ところで「頭を冷やせばよく眠れる」という話を聞いたことはありませんか?

質のよい睡眠をとるのに大切な要素はいろいろありますが、そのひとつが「体温調節」です。体温調節機能の働きも睡眠に影響を及ぼすと言われています。しっかり休息をとるのに特に大切なのが、脳の温度を下げること。不眠症の患者は、脳の前頭葉がいつまでも活発に活動して温度が上がっているため、寝つきにくくなっていると考えられます。

この脳の温度と睡眠の関係について、ピッツバーグ大学の研究チームによる興味深い研究があります。

同チームは、「脳は入眠時に冷たい環境を好むので、不眠症患者は冷やした帽子をかぶって寝れば寝つきがよくなる」との仮説を立て、不眠症患者12人と非睡眠障害者12人を対象に、冷水が循環する特別仕様の帽子を被験者にかぶらせて入眠時間を測定しました。

すると「不眠症患者は約13分で眠りに入り、ベッドに横たわっていた時間の89%は眠っていた」との結果が出たそうです(ちなみに非睡眠障害者は入眠まで約16分、眠っている時間の割合は不眠症患者と同じ89%)。

となると、怒りなどで頭がカッカしている、寝つきがどうにも悪いというときは、「頭を冷やして」からベッドに横になるのが、質の良い睡眠をとるコツかもしれませんね。

疲れは知らず知らずのうちに蓄積されていくもの。疲労を感じたら、脳と身体から“休め!”のサインが出ています。そんなときは無理をせず、有酸素運動をしたり、頭をクールダウンするなど、しっかりと疲れを癒してあげましょう!